障がいのある子どもたちの補装具・福祉機器

靴選びの大切さ

子どもの靴選び、未来への第一歩。

「そろそろ新しい靴、買い替えたほうがいいかな…?」

そう思いつつも、つい後回しにしていませんか?
または、子どもが「これがいい!」と言うからと、サイズやフィット感を深く考えずに選んでいませんか?

合っていない靴を履き続けることが、足の発達だけでなく、姿勢や運動機能、さらには脳の発達にまで影響する。実は、そんな深いつながりがあることをご存じですか?

「足」は全身の発達を支える土台

子どもの足は、まだ未完成の状態です。特に幼児期(~6歳頃)までは骨が柔らかく、筋肉や関節も不安定。そのため、足に合わない靴を履いていると、次のような影響が出ることがあります。

○外反扁平足、浮き趾(うきゆび)、外反母趾などの足部の変形
○転びやすさや歩きにくさ
○姿勢不良、X脚・O脚といった骨格のアンバランス
○疲れやすさ、集中力の低下

足元が不安定だと、脳はバランスを取るためにエネルギーを大量に使ってしまい、本来の発達や学習に集中しづらくなるとも言われています。つまり、靴はただの「履き物」ではなく、『身体と脳の健やかな発育を支える、重要な生活用装具』なんです。

靴を選んでみよう!

子どもの靴選び、5つのチェックポイント

サイズは「実寸+0.5~1cm」が目安

定期的に足の長さを測りましょう。半年で1cm以上成長することもあります。中敷き(インソール)を取り出して足の輪郭を描いてみると、サイズ感が一目瞭然です。

足幅・足囲(ワイズ)もチェック

足の形は個人差が大きく、幅広・甲高・細身…など千差万別。長さだけでなく「足の太さ」も合っていないと靴ズレや変形の原因になります。

かかと部分がしっかりしているか

ヒールカウンター(かかと部分)が柔らかすぎると、足が内側や外側に倒れやすくなり、姿勢や骨格バランスにも影響を及ぼします。

靴底が前3分の1で曲がるか

適度な柔軟性がある靴底が理想です。足の自然な動きを妨げず、スムーズな歩行をサポートします。

面ファスナーなどでしっかり固定できるか

靴が脱げやすいと、歩くたびに無意識に力が入り、足や膝に余計な負担がかかります。子どもが自分で履きやすく、しっかり固定できる構造がベストです。

【現場から】こんなトラブル、ありませんか?

○いつも同じ場所がすり減っている
○つま先が削れている
○かかとが斜めに潰れている
○歩き方が左右で違う、よく転ぶ

こうしたサインは、足に合っていない靴を履いている証拠かもしれません。そのままにしておくと、全身のバランスにまで影響が及ぶこともあります。気づいた今がチャンスです!

靴はおしゃれだけではなく、『小さな装具』です。

もちろん、子どもが「この靴が好き!」といって選ぶことは歩く意欲が溢れてくる、とても大切な要因です。

でも、だからこそ、大人が足に合っているかを見てあげることが必要なんです。その子に合った靴で気持ちよく、楽しく、たくさん歩く。これが大切です。

靴は、毎日何時間も身につけるもの。私たち装具の専門家から見ても、靴はもっとも身近な、そしてもっとも重要な“補装具のひとつだと感じています。

最後に

今日からできる「足もとの気づかい」

ここまで色々と書いてきましたが、子どもの靴選びは、決して難しいことではありません。ちょっとの気づきです。「成長してるかな?」「歩きにくそうじゃないかな?」と、定期的に足を見て、靴をチェックしてあげるだけで、足の健康、未来の健康を守ることにつながります。

足は、体のすべてを支える“土台”。その土台を大切にすることは、子どもの未来を大切にすることです。気になることがあれば、気軽にお近くの整形外科や義肢装具士に相談してみてくださいね。きっと力になってくれると思います。

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